今回、北九州市で障がいを持つ子供へのデイサービスを提供している「子どもの発達・学習を支援するリハビリテーション研究所」に訪問し、理事長である高橋さんにお話を伺った。
高橋さんは、元々理学療法士として病院や学校で活動されており、老人へのリハビリはほぼ毎日行われているのに対し、本当に必要とされている子どもへのリハビリがとても少ない現状を目の当たりにした。そこで、最もリハビリを必要としている発達に問題を抱えた子どもやその心配のある子どもを最大限支援することを目的に平成27年4月に未就学児を対象とした児童発達支援事務所「ばんびーにこくらみなみ」を開設した。
子どもの発達・学習を支援するリハビリテーション研究所では、未就学児を対象とした「ばんびーに」と学生から18歳までを対象とした放課後デイサービス「あぷれんど」という2つの教室と個別の部屋でリハビリを行なっている。
日本には1万を超える放課後デイサービスがあるが、セラピストを常勤配置している事業所は数少ない。しかし、この施設には、セラピストが平均して2人以上常勤している。これほどセラピストが充実した施設は他にはない。セラピストが配置されていることで、生活の中にリハビリを取り入れ、個別のリハビリを受けることのできる環境に特化しているのがこの事業所の一番の強みである。身体的な障がいを抱える子は、毎日のリハビリが必要となるが、なかなか毎日病院へ通うことは難しいのが現状である。そのため、 病院で毎日リハビリをうけることが出来ない身体系の障がいを持つ子が多いと高橋さんは話してくれた。

<個別リハビリ室での様子 出所:著者撮影>
実際に施設内を見学させて頂いたところ、施設にも年齢に合わせたトイレを複数設置していたり、子どもたちの様子をいつでも把握できるように死角を作らないようにしたりといくつもの工夫がされていた。また個別のリハビリ室では、体を動かすだけでなく視覚イメージを鍛えるリハビリも提供されていた。

<視覚イメージを鍛えるリハビリの様子 出所:著者撮影>
目で見てわかる障がいもあれば、目に見えない障がいもある。そんな子どもたちがここで少しずつ成長し、学校の友達や親、学校の先生とのコミュニケーションをとることができるようになっていく姿を見ることに一番やりがいを感じると高橋さんは語ってくれた。現在、高橋さんは学生の意識をお年寄りだけではなく未来を担う子どもに向けさせるため、様々な場所で講義などを行っている。
今後は、自分の今まで得たノウハウや経営の知識を、日本のリハビリ界を変えようという仲間に渡していき、全国の子供たちが質のよいサービスを受けることができるよう活動していきたいと熱く話してくれた。高橋さんを中心にリハビリ界が動いていく様子に今後目が離せない。

<講演の様子 出所:高橋氏提供>
【特定非営利活動法人 子どもの発達・学習を支援するリハビリテーション研究所】
問い合わせ先:ばんびーに こくらきた
〒803-0863 小倉北区南丘2丁目7-19
Tel:093-980-5010(担当:高橋)
記事:北九州市立大学 中村清・錦織知里
Comments