アフリカ大陸の北部にスーダンという国がある。人口は約3,935万人であり、世界で16番目に大きい面積を擁する。そのスーダンに“医療を届ける”活動を行っているのが、特定非営利活動法人ロシナンテスである。
今年で11期目を迎えるロシナンテスだが、在スーダン日本大使館に勤務していた医師の川原尚行さんが外務省を辞職し、日本に帰国後、北九州市で2006年に組織を結成したことが始まりである。スーダンでは、医療の環境が満足に整っていない現状があり、そこで医療支援という形で巡回診療と診療所の建設を中心に活動を行っている。メディカルアシスタント(医師に準じる資格を持った人)を中心に約二週間でハルツーム州のワドアブサーレ地区29の村を診療している。これだけの村を診療するには時間と労力にも限界があるため、現在、拠点となる三棟の診療所の建設の計画をしているという。
診療所を一棟建てるために資金が約一千万円かかる。ロシナンテスが開始した「土とレンガの診療所プロジェクト」を始めとする活動やクラウドファンディングによって資金調達を行い、すでに一棟が完成し、診療開始を間近に控えている。
診療所ができれば、その村はその地域の核として機能し、人や物が集まってくる。かつて無医村だったガダーレフ州のシェリフ・ハサバッラ村では、ロシナンテスによって打ち棄てられていた診療所の運営が再開し、さらに衛生問題を解決するためきれいな水が得られるように井戸の改修も行った。すると、それまで多くの時間を水汲みに使っていた女性に勉強する時間ができ、女子学生のための学校も建設された。地元住民は村が街になったと歓喜したという。現在、この村でのロシナンテスの活動は終了し、現地スタッフだけで診療所を運営している。このように、間もなく診療が開始される診療所でも、またこれから建設する二棟でも、同じように将来は自立し、運営されることを目指している。
北九州市の事務局では、スタッフ4人が資金調達と広報活動を中心とする業務に取り組んでいる。その事務局で8月3日と9日の2日間で初の試みであるインターンシップの説明会が開かれた。事務局長である星野賢一郎さんは「インターンシップを通して、学びがありスキルが身につくようなプログラムを用意したい」と語る。そのためには、それなりの期間と時間が必要になってくるという。
特定非営利活動法人 ロシナンテス
場所:北九州市小倉北区古船場町1番3号(北九州市立商工貿易会館 7階)
問い合わせ:093-521-6470
ウェブサイト︰http://www.rocinantes.org/
記事:北九州市立大学 山下凌・黒田麻友
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