内閣府の「ひきこもりに関する実態調査」によると、全国で約70万人がひきこもり状態にあるとされる。NPO法人「STEP・北九州」が運営する北九州市ひきこもり地域支援センター「すてっぷ」は、こうした引きこもりに悩む人を支援する団体である。このようなひきこもり地域支援センターは全国で17番目、福岡県内では初の試みだという。
すてっぷでは、どこで誰がどのように悩んでいるのかを把握し、電話相談・来所相談・訪問相談など、支援を求める方のニーズに合わせて対応している。相談後は、当事者のニーズに合わせて、できそうなこと、関心のあることをフリースペース・グループ活動・イベント等から見つけることができるしくみとなっている。センター長の田中さんは、「こうした活動を通して、自分も社会の役に立てるということに気付いてほしい」とねらいを語る。
たとえば、フリースペースでは毎週火・木曜日13時半~16時に「やわらかカフェ」が開かれており、集まった人達同士でゆったりとした時間を過ごしながら、人と関わる楽しさを知ることができる。静かに過ごしたい人は「まったりマーク」をつけると、無理に話さなくてもよく、自分のペースや体調などに合わせて活動することができる。小倉北区や八幡西区に地域のフリースペースがあり、行きたいところに参加できるのが魅力である。グループ活動では、イラスト部や写真部等があり、自分の得意分野を活かして社会で活躍できることを実感することができるようなしかけとなっている。
一方で、活動を続ける中で課題も現れてきている。ひとつは、30~40代といった年齢の人に魅力を感じさせるイベントが少ないことである。また、若い世代の後継者がいないことも大きな課題となっている。センタースタッフは3名(有給)で、様々な活動は、地域の協力者(縁が輪ネットワーク会員)によって支えられている部分も特徴である。田中さんは、「今後は更に社会的孤立を地域全体で支援し、ひきこもりで悩んでいる人が人生の充実感を得られる場にしたい」という。
問い合わせ先:北九州市ひきこもり地域支援センター「すてっぷ」
住所:北九州市戸畑区汐井町1番6号ウェル戸畑2階
TEL:093-873-3130(相談専用) 093-873-3132(事務局)
MAIL:step@step-kita.com
記事:北九州市立大学 西まりな・矢野千春
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