昭和24年、紫川に架かる常盤橋のたもとで、わずか3畳ほどの小さな釣具店からスタートした株式会社タカミヤ。この創業者の「きれいな紫川を取り戻したい」「地域の方々に恩返ししたい」という思いを引継ぎ、平成5年タカミヤ・マリバー環境保護財団が誕生した。北九州市内の300を超える河川や海岸線の美化活動を行うことから、マリバーという名前はマリン(海)+リバー(川)を掛け合わせて名付けられている。
かつての紫川は公害の影響で異臭漂う「黒い川」となっていた。そんな紫川も現在では、行政や企業の協力のもと、多くの種類の魚が棲む自然環境を取り戻している。
しかし、一方でタカミヤ・マリバー環境保護財団の西森さんは水辺の環境を汚染するゴミに頭を悩ます。
団体の活動のなかで、マリバー号と名付けたゴミ収集車で河川のごみ拾いや啓発活動を定期的に行ったり、地域の団体や子どもたちと協力をして清掃活動に取り組んだりしているが、ゴミの量は少しずつ減ってきてはいるものの、まだ多い。なかには自転車やバイクなど、行政に依頼しないと回収できないような大きなゴミが見つかることも有る。
拾っても拾ってもなくなることのないポイ捨てされたゴミ。それでも前向きに取り組むことができるのは、創業者の思い、そして子どもたちに自然を残したいと強く思う気持ちがあるからだ。子どもたちには自然環境を保つことの重要性、自然の中で遊ぶ楽しさを実感してほしいという思いから、様々なイベントを行っている。なかでも、毎年春に行われるアユの放流祭は1,000名もの参加者が集う大きなイベントだ。なかなか体験することができないアユの放流には、体験を通じてこの経験が子どもたちの心に残り、環境に対するプラスな考え方や生き物の大切さ、そして愛郷心を育んでほしいという思いも込められている。同時に、地域の環境保全団体の活動に対して助成を行う「マリバーエイド」という事業も財団事業の核になっている。
ゴミのポイ捨ては人間の考え方、意識を変えない限りなくなることはないだろう。今の子どもたちに自然環境と触れ合ってもらうことで、環境に対する考え方や意識をいい方向に持っていく。そして、環境への意識がゴミ拾いという行動に変われば現在より自然環境は良くなると信じ、タカミヤ・マリバー環境保護財団は日々の活動に取り組んでいる。
あなたがポイ捨てしたゴミ、目の前に落ちているゴミは環境汚染だけでなく、いつか動物や自分自身を傷つけてしまう可能性がある。小さなゴミでも大きな問題に発展する可能性があることを、今一度立ち止まって考えてほしいと西森さんは力強く訴える。
■公益財団法人 タカミヤ・マリバー環境保護財団
〒805-8539
福岡県北九州市八幡東区前田企業団地1-1
TEL:093-661-3171
FAX:093-671-9811
記事:北九州市立大学 長友みなみ 岩井遥
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