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生きもので人々をつなげる ~NPO法人 北九州・魚部~

魚部基地の様子

出所:鈴士氏提供

世の中には運動部、文化部とさまざまな部活があるが、「魚部」(ギョブ)という部活を知っている人はどれくらいいるだろうか。もともと、福岡県立北九州高等学校の部活として1998年に現副理事長の井上大輔さんを筆頭に創立された魚部は、高校生だけではもったいない、もっと広く全国に発信したいという思いをもとに、2015年から全国どこでも、誰でも参加できる任意団体となり、2018年にNPO法人「北九州・魚部」として活動をリスタートした。当時は35人だった魚部員だが、多くの活動を行っていくうちに口コミが広がり、現在では全国に360人にまで増えている。魚部では年に2回、活動や調査取材をまとめた『ぎょぶる』という、生きものや自然についてのマガジンを発行している。


今まで発行した「ぎょぶる」の一部


出所:鈴士氏提供

魚部では去年、全国、いや世界初かもしれない「ヒメドロムシ・サミット2018」というサミットを行った。みんなが知らないような微小な昆虫を対象にしているため、「マニアックすぎて人が集まるかどうか不安だった」と語る理事長の上野由里代さん。しかし当日は全国から約100名以上もの参加者が集った。また、史上初となる、全国のドジョウを集めた「大どじょう展」も開催した。この展示会を開催するため、約2年かけて全国へドジョウを採集しに行った。このようなサミット・展示会を行うためには、多くの時間をかけての準備が必要である。大変なこともあるが、その中で新たな発見をすることや、展示会で楽しんでいる人たちの顔を見ることがこの活動でのやりがいを感じる瞬間だという。


去年行われた「ヒメドロムシ・サミット2018」のポスター


出所:鈴士氏提供

魚部の理事長である上野さんは、現在大学4年生である。彼女は、身近な自然や生きものの面白さ、楽しさ、大切さを北九州だけではなく、もっと全国の多くの人たちに伝えていきたいという思いを持ち、全国のいろいろな場所へ出向き、生きものの調査・観察をしている。調査先でよく地元の人に声を掛けられることが多く、そこからいろいろな人との関わりやつながりができ、活動の幅もどんどん広がっていくと言う。水辺の生きものが全く別の地域の人や、世代が違う人をつなぐのだ。


去年行われた「ぎょぶたんぼの生き物観察会」での様子


出所:鈴士氏提供

今後、魚部では「ぎょぶたんぼ」というプロジェクトに力を入れていきたいという。このプロジェクトは北九州市の曽根地区の休耕地を湿地にしながら、参加者と一緒に生きものと触れ合ったりするプロジェクトである。今後も湿地再生をしながら生きものの観察をしていく。また、新たなプロジェクトとして、大学教授や農業関係者を巻き込んだ魚のプロジェクトを検討中である。これからは生きものの多様性という観点からSDGsへのアプローチをしていきたいそうだ。


魚部は、生きものについて詳しい研究者と一般の方の仲介役、つまり一般の方への伝い手を担う存在である。魚部の活動は日々発見であると理事の鈴士由香さんは言う。魚部で集まり、何か活動をするのはもちろんだが、集まる人々それぞれの日々の発見をもちより、みんなと共有する場でもあるのだ。あなたも魚部で日々の発見を楽しんでみてはいかがだろうか。


NPO法人 北九州・魚部

市民交流スペース“魚部基地”

「街の水族館&いきもの図書館」

福岡県北九州市小倉北区大手町2-12

(株)三宅モータース2F 魚部基地

お問い合わせ先:gyobu.subsidy@gmail.com(工藤雄太さん:副理事長)

URL : http://www.gyobu.or.jp


記事:北九州市立大学 新屋美奈 ・上田実咲




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