特定非営利活動法人NPOカタリバは2001年に設立され、東京を中心に高校生へのキャリア教育活動(カタリ場授業)を行っている。福岡では一般社団法人ピープラスがNPOカタリバとライセンス契約を結び、カタリ場授業を届けている。
カタリ場授業は主に高校生を対象としており、大学生などのボランティアスタッフが高校を訪問して実施される。多くの場合、学年全体に体育館などに集まってもらい、約二時間のプログラムが行われる。目的は、高校生が主体的に行動するための“きっかけ”を作ることである。
授業を行う大学生ボランティアは「キャスト」と呼ばれ、二つの役割を担う。ひとつは、自分の体験を高校生に伝えることで、これは「サンプリング」と呼ばれている。これは、先輩として、自分の高校生のときの後悔や失敗談、悩み、そしてどのように乗り越えたかなど様々な体験談を紙芝居方式で語り高校生が将来を考える上での一つのサンプルとしてもらうという役割である。もうひとつは、対話を通じて高校生の隠れた夢や悩みを引き出す「チェッキング」という役割である。ちょっと年上の「ナナメの関係」にある大学生と悩みや不安を共有し、なりたい自分になるための一歩を踏み出せるように心に火を灯すことを目指す。プログラムの最後には、必ず今日からできる小さな行動を生徒に宣言してもらい約束を交わして終了という流れになっている。
カタリ場の魅力は、高校生も大学生(キャスト)も互いに学び、両者ともが刺激し合い成長できる場であるということだ。初めて会う生徒とコミュニケーションを取り本音を引き出すためにキャストは高校生と本気で向き合うことが求められ、そのためには同時に自分自身も向き合うことが必要になる。この過程で様々な気づきや感情の変化を経験することになる。また、二時間の間に高校生の表情が生き生きとしていく姿をみることができる。
実際に、カタリ場にキャストとして参加した佐々木希美さんは、「生徒と向き合うことで、お互いに刺激し合えるとこがカタリ場の魅力」と語る。また、サンプリング役として参加した磯崎歩さんは、「高校生に何かを話すことだけが自分の役目と感じていたが、実際に参加してみて高校生から得るものもたくさんあり、とてもいい経験になった」という。
福岡カタリバでは、大学生ボランティア(キャスト)を募集している。
参加したいけれど経験がなく心配という場合でも、事前に説明会や丁寧な研修があり、楽しみながらやり方を学べるしくみになっている。高校生の分析やシミュレーションを行いわからないことはカタリバ経験者の人達がアドバイスをしてくれるため安心して参加することができる。
福岡カタリバについての情報と問い合わせは、下記まで。
info@fukuoka-katariba.com
記事:北九州市立大学 齊脇大駿・林瑠美
Comments